捨てることで、人生を取り戻しました

はじめまして、かよトンです。
このブログでも、何度か「捨てること」の大切さを書いてきました。
人間には、どんなに捨てたくない、これを持っていたいと思っても、やはり捨てなくてはいけないものがあるのです。
今日は少し重い話ですが、私が人生の中で捨てなければならなかったものについてお話しします。
禁断の果実

今から20年ほど前のことです。
夫トン十郎も、私かよトンも映画が大好きで、よく見に行きました。
外国映画でカップルがする、スピーディかつスリリングなスポーツと言えばスカッシュ。
映画のように華麗なラケットさばきでボールを打てたら素敵だな、と胸を躍らせ、近所のスポーツクラブへスカッシュを習いに行くことにしました。
トン十郎も学生時代に卓球経験があり、一緒に行くことになりました。
若い男性インストラクターが、笑顔で私に向かってボールを投げます。
「奥さん、いきますよ、ボールをよく見てくださいね」
ボールは良く見ています。
体も動かしています。
しかし、ボールがラケットに当たらないのです。
忘れ去られていた辛い過去
スカッシュをやることに決めた時、うっかり忘れていたことがありました。
ラケットベースボール(野球のバットをラケットに替えたもの)を小学校の授業でやったのですが、何度やってもラケットにボールが当たらなかった、辛い過去。
もうひとつありました。
高校の時、体育の授業でハンドボールをした時のこと。
私はコートの中で、全く試合に絡まず、ボールにかすってもいないようなところをフラフラ歩いていた時に、足をねん挫して1か月歩けなくなった、苦い思い出。
夫への醜い嫉妬

「奥さん、もう1回行きますよ、ボールをよく見て打ってくださいね」
ボールは見てるんだってば。
打とうとしてるって。
夫は、どんどん上手くなりました。
自分でいうのもなんですが、私は努力家で、その時期に家族で海外旅行に行った時も、こっそりラケットをスーツケースに忍ばせ、夜中にホテルで素振りの練習をしました。
トン十郎に「お願いだから、海外旅行では練習しないでほしい」と言われたほどでした。
「奥さん、ボールをよく見て、よく見て打ってくださいね」

ボールは見てるんだってば。
打とうとしてるって。
数か月たつと、努力しても上手くならない私は自己嫌悪に陥り、私とは対照的に上達する夫に嫉妬し、夫婦関係が悪くなってきました。
人生の岐路
スポーツクラブからの帰り道、夫は車を止め、うなだれて言いました。
「もう…やめないか」
「うん」
私は、うなづくのがやっとでした。
この日を境に、私の人生からスカッシュは捨て去られました。
それどころか、夫から球技禁止令が出され、球技全般が私の人生から整理されてしまったのでした。
あの日、スカッシュを捨てなかったら、と思うと背筋がゾッとします。
今日は暗い話になってしまって、ごめんなさい。