
実家の片付けを考え始めたとき、
「どうやって親を説得したらいいんだろう…」
そう悩む方は、決して少なくありません。
「この箱、何年も使ってないよね」
「放っておくと、あとで大変だよ」
頭では分かっているからこそ、つい正論で話を切り出してしまう。
けれど、話せば話すほど空気が重くなり、「もういい、その話はやめよう」と言われる。
結局、ほとんど何も片付かないまま、なんとも言えない気まずさだけが残る。
――そんな経験はありませんか?
「ちゃんと説明しているのに、なんで分からないの?」
そう感じて、イライラしたり、焦ったりしてしまうのも無理はありません。
ただ、ここで一度立ち止まって考えてみてください。本当に必要なのは、親を“説得すること”でしょうか。
実は、実家の片付けがうまく進むかどうかは、
「説得」ではなく「本人が納得できる流れ」をつくれるかどうか
で、大きく変わります。
・無理に捨てさせなくてもいい
・正論で押し切らなくてもいい
親が自分で「やってみようかな」と思える形をつくることで、関係をこじらせず、少しずつ片付けが動き始めるケースもあります。
この記事では、実際の現場事例をもとに、
✔ 親を無理に説得しなくても片付けが進む理由
✔ 実際の現場でうまくいった関わり方の事例
✔ 今日からできる具体的な声かけ・進め方
を、できるだけ分かりやすく解説していきます。
「親と揉めずに、実家の片付けを前に進めたい」
そんな方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
※なお、今回の記事に掲載した写真は実際の現場ではなく、内容をイメージした生成画像を使用しています。
なぜ“説得”はうまくいかないのか
説得しようとするとき、こちらはどうしても「正しさ」を武器にしてしまいます。
安全のため、効率のため、将来の負担を減らすため。どれも大切な視点です。
ただ、長年暮らしてきた家や持ち物には、その人なりの思い出や安心感が深く結びついています。
他人から見れば不要に見える物でも、本人にとっては簡単に手放せない理由があることも少なくありません。
そこへ、
「もっと減らした方がいい」
そんな言葉が向けられると、物そのものではなく、自分の生き方や、これまでの判断を否定されたように感じてしまうことがあります。
すると、人は無意識に身構えます。
話を聞く前に、「守る」モードに入ってしまい、相手の言葉を素直に受け取れなくなってしまうのです。
その結果、話し合いは噛み合わず、片付けも止まってしまいます。
だからこそ、正論を言うほど空気が重くなるのは、ある意味“自然な反応”なんです。
あなたはどのタイプ?トントン式・実家の関わり方ゆる診断
実家の片付けって、モノの話をしているはずなのに、いつの間にか気持ちの話になりがちです。
そんな場面だからこそ、気づかないうちに、自分の“クセ”が前に出てしまうこともあるのかもしれません。
実家との関わり方を、ちょっとゆるくチェックしながら、その“クセ”をのぞいてみましょう。
関わり方を軽くチェック
□ 片付け番組や収納系動画を見ると、無性にやる気スイッチが入る
そしてその熱量を、つい家族にも分けたくなってしまう。
□ 「それ、最後にいつ使った?」が口癖になっている
“確認”ではなく“誘導”に。「手放してほしい」が、いつの間にか先に立っている。
□ 親が迷っている時間を、内心ちょっと“もったいない”と感じている
早く決めてほしい、早く進めたい、そんな気持ちがひょっこりと顔を出す。
□ 実家に行く前から“成果を出す段取り”が頭の中で完成している
気がつけば「今日はここまでやろう」という目標が先に立っている。
□ 片付けが進まないと、“自分の伝え方が悪かったかな”と一人で反省会をしている
次はもっと上手く説得しよう…と、無意識に“説得モード”を強化してしまうことも。
さて、いくつ当てはまりましたか?
※迷ったら、いちばん近いところでOKです。
【0〜1個】
かなり“見守り上手”タイプ。相手のペースを尊重できています。
【2〜3個】
やさしさと焦りが半々タイプ。少しだけ力が入りやすいかもしれません。
【4〜5個】
がんばり屋さんな“前のめり”タイプ。良かれと思って、ついアクセルを踏みがちです。
どのタイプでも、ダメということはありません。家族だからこそ、こうなりやすいだけです。
大切なのは、「いま自分は、どんな関わり方になっているか」に気づけること。
次の事例では、実際に“前のめり”になったことで、うまく進まなかったケースを紹介します。
事例①|正論で押した結果、片付けが止まったケース
70代のお父さまが一人で暮らしていた家では、廊下の片側に古いダンボールがたくさん積まれていました。

人が通るたびに体をひねらないとすれ違えず、雨の日には濡れた傘が床に置かれ、足元はさらに不安定になります。
お嬢さまは、家に行くたびにその光景が気になっていました。
「この箱、中身もう何年も見てないんじゃない?」
そう声をかけると、お父さまはダンボールを軽く叩きながら、「昔の仕事の資料なんだ。そのうち整理する」と短く答えます。
「じゃあ今度まとめて処分しようか」
そう続けたところ、「勝手に決めるな」と少し強い口調で返ってきました。
もちろん、お嬢さまが悪いわけではありません。大切に思うからこそ、言葉が強くなってしまうんですよね。
安全を考えた正しい判断だったとしても、“捨てる前提”で話を進めたことで、相手が「動かされている」と感じてしまったケースでした。
“納得”とは、相手が自分で決められる状態
実家の片付けで言う“納得”とは、誰かに動かされることではありません。
本人が「これは手放してもいい」「ここは片付けた方が暮らしやすい」と、自分の判断で決めることが重要なのです。
だからといって、無理に一気に進める必要はありません。
少しずつでも「自分で決めた」という感覚が積み重なる方が、結果的に、無理なく・安定して片付けを進めることができます。
事例②|納得から少しずつ進んだケース
築40年ほどの木造住宅で、お母さまが一人暮らしをなさっていました。
玄関の靴箱には、何年も履いていないパンプスやサイズの合わなくなった靴がぎっしりと詰まっていて、新しく買ったスニーカーは箱の上に置かれたままになっていました。
お嬢さまは、靴箱の前で一足ずつ靴を出しながら、
「雨の日、探しにくくない?」
と、何気ない会話を重ねていきました。
途中で、お母さまが一足のパンプスを手に取り、「これはもう履かないけど、捨てるのはちょっとなぁ」と迷いました。
その日は無理に結論を出さず、明らかに履いていない靴だけを数足整理し、靴箱一段分の空きを作るのに留めました。
それから数日後――
買い物に出かける際、空いたスペースのおかげでスニーカーがすぐに取り出せたお母さま。

「前より楽だな」と感じたそのとき、ふとあのパンプスが目に入りました。
「履かないのなら、減らした方が楽だよね」
と、お母さまの方から手放す判断が出ました。
このやり取りの中で、お嬢さまは一度も「減らそう」「捨てよう」とは言いませんでした。
あくまで、使い方や困りごとを一緒に確認していっただけです。
“片付いた状態の快適さ”を一度体感し、自分でその変化に気づけたことが、無理のない判断につながったというケースでした。
実家の片付けで大事にしたい3つのポイント
① まず、話を聞くこと
いきなり「減らそう」「捨てよう」と話を切り出すと、相手はどうしても身構えてしまいます。
片付けの話に入る前に、まずは“暮らしの困りごと”を聞くところから始めてみてください。
たとえば、
「最近、探し物すること多くない?」
「ここ、使いにくいって所ある?」
こんな聞き方から入ると、「片付け」ではなく「生活の話」になりやすく、会話の空気もやわらぎます。
大切なのは、すぐに答えや解決策を出そうとしないこと。
「そうなんだ」「それは大変だね」と一度受け止めるだけでも、相手は安心して話しやすくなります。
② 目的を共有すること
片付けの目的は、“モノを減らすこと”ではありません。
本当に目指したいのは、
・転ばずに安全に歩ける
・必要な物がすぐに見つかる
・毎日の動作が少しラクになる
といった、“暮らしやすさ”そのものです。
「これ、捨てよう」ではなく、
「この辺がもう少しスッキリしたら、探しやすそうだね」
など、ゴールのイメージを一緒に言葉にしてみてください。
目的が共有できると、“やらされている片付け”から、“一緒に整えていく片付け”に空気が変わっていきます。
③ 小さく始めること
最初から部屋全体を片付けようとすると、体力的にも気持ち的にも負担が大きくなりがちです。
おすすめは、
・引き出し1つ
・棚1段
・10〜15分で終わる範囲
など、“今日はここだけ”と区切れるレベルから始めること。

終わったあとに「ちょっと使いやすくなった」「これは楽になった」と実感できると、次の一歩につながりやすくなります。
逆に、最初から完璧を目指すと、疲れや衝突につながりやすいので注意が必要です。
それでも難しいときは
感情が絡むテーマほど、ご家族だけで進めるのは簡単ではありません。
言い方一つで関係がこじれることもありますし、無理に進めて後悔が残るケースもあります。
たとえば、
・話すたびにケンカになってしまう
・危険なのは分かっていても、本人がなかなか動けない
そんなときは、ご家族だけで抱えず、第三者に整理してもらう方がうまくいくこともあります。
ご相談ベースで大丈夫です

もし、次のような不安や迷いが少しでもあれば——
・何からやればいいか分からない
・安全面や作業量が心配
・感情的な衝突を避けたい
そう感じている場合は、お一人だけで抱え込まなくても大丈夫です。
まずはご相談いただき、現場を見ながら、ご本人のペースを大切にしつつ、今の状況に合った進め方を一緒に整理していきます。
お話を聞くだけでも構いません。お見積もりは無料ですので、どうぞご安心ください。
片付けトントンは、お部屋の片付けや清掃を承っています。まずは、お気軽にお問い合わせください。サービスエリアは愛知県内(一部地域を除く)です。
詳細は、「片付け・整理収納ページ」をご覧ください。
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よくある質問(実家の片付け・親との関わり方)
実家の片付けでよくある質問をまとめてみました。
Q. 親が片付けの話を嫌がるのはなぜですか?
片付けはモノの話に見えて、本人にとっては「生き方」や「これまでの判断」に触れるテーマになりやすいからです。正論で押されるほど、「否定された」「責められている」と感じてしまい、無意識に身構えてしまうことがあります。その結果、話し合い自体を避けたくなってしまうケースも少なくありません。
Q. 親を説得しなくても実家の片付けは進みますか?
進みます。大切なのは説得ではなく、本人が「自分で決められる状態(納得)」をつくることです。小さな範囲から成功体験を積み、「少しラクになった」「使いやすくなった」と実感できると、無理なく片付けが動き始めやすくなります。
Q. ケンカになりにくい声かけのコツはありますか?
「捨てよう」「減らそう」といった結論から入るのではなく、「困っていること」や「使いにくさ」を一緒に確認する聞き方がおすすめです。たとえば「最近、探しにくくない?」「ここ、歩きにくくない?」など、暮らしの話として入りやすい言葉にすると、相手も構えにくくなります。
Q. 最初はどこから始めるのがいいですか?
引き出し1つ・棚1段など、10〜15分で終わる範囲から始めるのがおすすめです。終わったあとに「ちょっと使いやすくなった」「ここがラクになった」と実感できると、次の一歩につながりやすくなります。
Q. 家族だけで進めるのが難しいときはどうすればいいですか?
話すたびに衝突してしまう場合や、安全面の不安があるのに本人が動けない場合などは、第三者が入ることで冷静に整理しやすくなることがあります。無理に一気に進めようとせず、まずは状況を相談ベースで整理するところから始めても大丈夫です。





