実家で暮らしていた親が亡くなったので、遺品整理をしなければいけない。
でも…
何がどこにあるか、さっぱりわからない。物が多すぎて、何から始めたらいいか混乱している。辛くて手をつけられない。
…大切なご家族を亡くされお辛いでしょうが、いつかは遺品整理をしなければなりません。私も、つい最近、実家の遺品整理をしましたが、その経験を踏まえつつ、遺品整理の仕方について、なるべくわかりやすく解説させていただきたいと思います。
1、遺品整理を始める時期
すでに重要書類や貴重品を探し出してあり、かつ持ち家でしたら、残りの物については特段急ぐ必要はないでしょう。
しかし、重要書類や貴重品がどこにあるかもわからない状態でしたら、葬儀終了後のなるべく早い時期に探し出す必要があります。
また、賃貸住宅にお住まいだった場合は、明け渡し時期が迫っていますからなおさらです。
この記事では、貴重品や重要書類を探し出すことも「遺品整理」に含まれるものとして、話を進めます。
2、相続手続きや相続放棄に備える
なぜ、早めに重要書類や貴重品を探し出す必要があるのでしょうか?
それは、以下に述べる手続き期限と関係があります。
各種手続きと期限(一例)
- 年金の受給停止:速やかに(国民年金は14日以内)
- 介護保険資格喪失届:14日以内
- 遺言書の検認:速やかに
- 相続の放棄:3ヶ月以内
- 相続税の申告と納税:10ヶ月以内
など…
相続の放棄や相続税の申告・納税は、時間的余裕がありそうに思えますが、相続の話し合いや遺産分割協議書の作成など、やるべきことはたくさんあります。思ったよりも時間がかかりますので、早めに遺産の全容をつかんでおくことをおススメします。
特に負債が多い場合の相続の放棄には、注意が必要です。
3、辛い遺品整理に気持ちを切り替える方法
貴重品や重要書類は早めに整理しなければいけない、ということはおわかりいただけたと思います。
しかし、まだそんな気持ちになれない、という方も多いでしょう。
遺品は、あなたの大切な方が遺したもの。早く遺品を見てあげるのも供養になるのではないでしょうか。
葬儀から遺品整理までを連続して行うと、忙しくてたまりません。しかし、その忙しさと遺品に向き合う気持ちとが心の整理につながるのだと、自分も経験して感じました。
遺品整理は心の整理です。
4、わからないことは相談すれば良い
重要書類を整理すると、いろいろなものが出てきます。
年金手帳が出てきたけど、手続き方法は?
遺言書が出てきたけど、どうしよう?
家のローンが残っているみたい。
…悩み始めたら、きりがありません。
遺品整理で大切なことは、何があるか探し出すことです。
まずは、そこに集中しましょう。
何があるかわかれば、それをわかる人に相談すれば良いのです。
経験から言っても、聞いた方が早いです。
あまり心配しないで、遺品整理に集中しましょう。
5、遺品整理をする時は、相続人に集まってもらう
遺品整理をする時は、基本的に相続人全員に集まってもらうようにしましょう。
黙って遺品整理をして、後でトラブルになっては大変です。
遺品整理がすべて終わった後に、「アレがあったはずだ、コレがあったはずだ」とか言われても解決のしようがありません。
もし、立ち会えない人がいたら、「〇〇にまかせる」という確約を取ってください。
遺品整理は、精神的にも肉体的にも辛い作業です。人数が多いに越したことはありません。相続人ではない家族の助けも効果的です。
6、遺品整理準備のノウハウ
重要書類はクリアファイルに、高価な物は故人様の使っていたカバンなどに入れ、その他の物は、段ボールや、ありもののケースに分類して入れます。
家に帰る時、このクリアファイルとカバンを持ち帰れば、いちいち実家に戻らなくても手続きができますし、セキュリティ面も安心です。
具体的な準備の仕方をご説明します。
6-1 消耗品類を準備する
- メモ用紙、ペン
- 段ボールやケースに何が入っているか書きます。
- ガムテープ
- 段ボールの底止めに使います。
- ゴミ袋(可燃、不燃、資源)
- 手元に置き、ゴミが出たらその場で入れます。
- 化学雑巾
- ほこりだらけになっている場合、その都度拭きます。
- マスク、軍手
- ほこり・汚れ防止に使います。
※すべて必要なわけではありません。経験上、あると便利だと思われるものです。
6-2 入れ物を準備する
- クリアファイル
- 重要書類を入れるので、絶対に中身が滑り落ちない構造のものにしてください。
- 故人様の使っていたカバン
- ファスナーなどでしっかりフタのできるものを選びましょう。
- 段ボール
- 新品でなくても大丈夫です。
- ケース
- ありものを探してください。食器棚や本棚の「引き出し」でも代用可能です。
6-3 入れ物にラベリングする
何を入れるか、段ボールやケースに表示します。
表示する内容は、こんな感じです。
- ①印鑑、カギ
- ②アクセサリー、時計
- ③趣味の道具、蒐集物(切手、古銭など)
- ④バッグ類
- ⑤手紙、ハガキ
- ⑥形見分けの品(欲しい人の名前を書いておく)
クリアファイル、カバンと上記①~⑥の8種類に分類します。他にも分類が必要なものが出てきたら、適宜追加してください。
6-4 スペースを確保する
整理したものを置いておく場所を作ります。
なるべく物が少ない部屋を片付けて、床に並べられるようにします。
7、財産(金品や宝石)、貴重品、重要書類などを探す場所
最初のステップは、財産や重要書類などを探し出す作業です。大切なものを捨ててしまわないよう、落ち着いて行いましょう。
7-1 引き出しの中を探す
当たり前ですが、引き出しに入れてある可能性が一番高いです。
洋服ダンス・食器棚の引き出し、仏壇の引き出しも残らずチェックします。
チェックが済んだ場所は、ガムテープなどで目印をつけておきましょう。二度手間にならないような配慮も大切です。
7-2 バッグの中を探す
バッグの中にも、貴重品を入れてあることが多いです。非常持出袋も含めてチェックしてください。
その時、チェック済みのいらないバッグは可燃ゴミの袋に入れておくと効率的です。
7-3 その他の場所を探す
あるはずのものが見つからない時は、探す範囲を広げる必要があります。
布団の間、冷蔵庫の中、カーペットの下、トイレタンクの中に保管してある場合もありますから、頭を柔軟にして探しましょう。
8、財産や貴重品、重要書類の分類方法
重要書類や貴重品が見つかったら、その都度、分類します。
すべてのものを探し出してから一気に分類する、という方法はおススメできません。なぜならば、あまりの多さに気が滅入ってしまうからです。
焦らずに、一つ一つ整理していきましょう。
必ず終わります。
8-1 クリアファイルに入れておくもの
〇市役所・役場や年金事務所に届け出るもの
年金証書、健康保険証、健康保険高齢受給者証、後期高齢者医療被保険者証、介護保険証、身体障害者手帳、印鑑登録手帳など
例えば、後期高齢者医療被保険者証が見つからなくても、焦る必要はありません。手続きの時、どうしても見つからないと言えば済むことです。
〇保険証券など
生命保険、火災・地震保険、損害保険などの証券
〇権利書など
登記済証、登記識別情報通知など
〇その他
賃貸住宅契約書、住所録、戸籍謄本など
※戸籍謄本が出てきたら、念のためとっておきましょう。(各種手続きで、生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍が必要になった時の参考になる可能性があります。)
8-2 カバンに入れておくもの
〇通帳、キャッシュカード、クレジットカード、株券など
時間に余裕があれば、通帳は最新のものを残し、古いものは細かく切って可燃ゴミにします。
〇遺言書
遺言書が見つかっても、安易に開封してはいけません。相続人全員の立ち会いなど注意すべきことがありますから、良く調べてからにしましょう。
〇現金、高価な宝石・時計、携帯、貸金庫のカギなど
ご心配なら、実印や銀行印も入れておきましょう。
8-3 段ボールやケースに入れておくもの
印鑑、カギ
印鑑が大量に出てくることがあります。焦って捨てることもありませんから、まとめておきます。
家のカギ、自動車・自転車のカギなどの他、何のカギか想像の付かないものも出てきます。
アクセサリー、時計
どれを取っておくのかは、後で考えれば大丈夫です。とりあえず保管しておきます。
趣味の道具、蒐集物
切手、古銭、骨董品などです。
趣味の物は、高価な場合があります。段ボールに入りきらない物は、ひとまとめにしておけばOKです。
バッグ類
バッグの中身をチェックした時、捨てるにはもったいないステキなバッグがあれば取っておきます。
9、その他の書類、手紙・ハガキの整理手順と注意点
ご年配の方の場合、重要書類とそうでないものが混在していることが多いですし、開封されてない郵便物があったり、とにかく大量の書類や郵便物が出てきます。
結局は、ほぼすべての書類に目を通す必要があると思いますので、手紙やハガキを含めた書類はこの機会にすべて整理しきってしまう方が効率的です。
9-1 クリアファイルに入れておくもの
〇介護保険の計画書、利用実績などの書類
同じ種類のものが、たくさん出てきます。念のため、最新の書類のみを取っておき、古いものは可燃ゴミ(※注)にします。まだ介護サービスの提供事業所へ連絡してない場合は、介護事業所がわかる書類をとっておきます。
〇年金決定通知書や固定資産税に関する書類
最新のものをとっておき、それと同じ種類の古いものは可燃ゴミ(※注)にします。
〇銀行や証券会社、保険会社などから届いた封書やハガキ
遺産相続など、何らかの手続きが必要になりそうなものをとっておきます。
〇有料サービスの利用に関する封書やハガキ、領収書・請求書
NHK、電話、インターネット、ガス、水道、新聞など。
最新のものをとっておき、残りは可燃ゴミ(※注)にします。
※注:可燃ゴミにする時は、個人情報がわかる部分を細かく切ったうえで、捨てるようにしましょう。
9-2 段ボールやケースに入れておくもの
手紙、ハガキ
友人・知人からの手紙などは、すべて見ていると、どれだけ時間があっても足りません。とりあえず段ボールなどに入れておきます。
形見分け(欲しい人の名前)
遺品整理をしていると、高価なものではなくても、自分にとっては大切なものが見つかったりします。そんな時は、自分の名前を書いた箱に仮に入れておきます。後で、みんなで話し合って、誰がもらうか決めます。
10、自分でやるか、遺品整理業者に依頼するか
今まで述べてきたようなところまでは、基本的にはご自身でやった方が良いと思います。
しかし、家族の協力があっても、なかなか大変な作業です。
そこで、「業者に頼もうか」という話しになった時、是非とも気をつけていただきたいことがあります。
遺品整理は、単なる不用品の処分ではありません。
遺産相続や各種手続き、形見分け、愛用品の供養など、繊細な作業を含んでいるのです。そういったことをわかっている信頼できる業者を選んでください。
11、遺品整理の料金相場
お住まいになっていた家に、どれだけの物があるか、重要書類や貴重品を探す必要があるか、清掃や消臭はどの程度必要か、などによって金額に大きな開きが出ます。
例えば、ゴミ屋敷ではない3LDKのお宅で、10~70万円といった具合です。
…金額にそんな開きがあったら参考にはならないと思いますが、遺品整理は複雑なので、実際にお宅を拝見し、ご要望をお聞きしないとわからないのです。
しかし、相場を知る手段はないのかというと、そんなことはありません。
まずは、信頼できそうな遺品整理業者3社ほどから見積もりを取ってみましょう。出てきた金額の平均が、だいたいの相場です。
この記事では、財産や貴重品、重要書類の整理など、急ぎの部分についてお話ししました。
書き足りないことがあるかと思いますが、どうかご容赦ください。
各種手続きの方法、遺品整理業者選びの方法などについても、後日詳しく書きたいと思います。
片付けトントンの遺品整理(名古屋市&愛知県対応)
長年お暮らしになってきた家ですから、遺品は大量にあります。
すべての片付けを業者まかせにするのは、お気持ち的にも、ご予算的にも難しい場合があると思います。
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