「娘の部屋がぐちゃぐちゃで掃除もできず、衛生的に良くない状態になってしまっている。せめて床の掃除ができるくらいまで片付けて欲しい」というお問合せをいただきました。
続けてお話を伺っていくと、お嬢様が引きこもりになってしまい、片付けることが社会復帰の第一歩にならないだろうか、とお考えだということがわかってきました。ぐちゃぐちゃな部屋では、やる気も起きないだろうと・・
ご依頼いただいた方と物の持ち主が違う場合、双方の意見の食い違いが起こり、作業が進まなくなってしまったという経験が何度もあります。まずは、しっかりお話をお聞きしようと思いました。
お母様とお嬢様の意見の上手い落としどころを見つけ、良い方向に向かうためのお手伝いがしたいと思いながら、お見積り日時をお約束しました。
【目次】
片付けのお見積り
目指すお宅は、閑静な住宅街の一軒家です。40代くらいの優しそうな女性が出迎えてくださいました。
お嬢様にもお会いでき、すぐにお部屋を見せていただけることになりました。
お母様から「娘が部屋に入れてくれないかもしれない」と伺っていたので、いったいどうなるか、少しハラハラしていましたが、幸先良い感じです。
お部屋の様子、3人で話し合い
ざっと見た感じでは、本とペットボトルがたくさんあります。特に、本はベッドまわりから廊下に至る板間のそこかしこに積まれています。
お母様とお嬢様のお話がちらっと聞こえてしまったのですが、「自分でやる」と言っていたが、結局できなかったので、第三者に手伝ってもらった方が良いということになったようでした。
お母様は「もう、やってもらうからね!」とおっしゃっていましたが、お嬢様は戸惑いや不安を感じていらっしゃるご様子でした。
お嬢様と私の2人で話し合い
お嬢様のお気持ちをもっと聞きたかったので、思い切って、お母様には少し席を外していただきました。
ご自身も物が多いという自覚はあって、自分でやってみようと試みたとのことです。
よく見ると、本が入ったプラスチックのケースやダンボールが下の方にチラホラ見えます。片付け始めたものの、物を減らさないで整頓しようとしたために、身動きが取れなくなってしまった感じです。
本は、しんどい時期を乗り越える拠り所だったようで、単純に「捨てる」という選択肢は難しそうです。
お話を続ける内に、良い兆候が見つかりました。それは、ご本人にも部屋を綺麗にしたいというお気持ちがあることです。
そこで、こんなご提案をしてみました。
・ペットボトルや缶などの資源、ゴミは処分する
・破れている本、もう読まない本は処分する
・迷ってしまう本は、今回は無理に捨てない(別の機会に考えればOK)
部屋のキャパ的にも今の本の量は多すぎるので、なるべく処分していただくように話しました。
あれこれお話を伺っている内に、お母様にもある程度ご満足いただけるレベルまでは片付けてあげたいな、という気持ちが、より強くなってきました。
再度、3人で話し合い
思っている片付けのレベルが、お母様とお嬢様では少しズレがあるかもしれないけど、現状よりは確実に良くなるということで、双方ご納得いただけました。
すべて片付けるなら3人で一日作業というご提案をしましたが、どうなるか不安だったご様子。まずは、2人でやれるところまでやってみるということで、ご成約いただきました。
お部屋の片付け作業当日
9時から16時までの予定で、2人で出発します。暑すぎない、片付け日和です。
お母様、お嬢様にご挨拶をして、家の中に入れていただきます。
作業着手前の打ち合わせ
全員で、作業内容と手順を確認します。
・ペットボトル、缶などの資源やゴミは、お客様の確認なしで処分する
・ベッド、昔の学習机は処分する
・本は一旦部屋から全部出し、廊下でお嬢様が要・不要を仕分ける
・床に物がない状態にする
また、お母様は立ち会わず、お嬢様と3人で作業することになりました。
作業開始!
まずは、部屋の入り口付近から攻めていきます。
ペットボトルや缶、ゴミなどを分別袋詰めしつつ、廊下に待機しているお嬢様に本をパスしていきます。
1時間もすると床の1/4ほどが見え、昼前にはベッドを解体して外に出すことができました。一気にスペースが広がり、作業しやすくなりました。
どんどん、どんどん本が出てきます。
頑張って、取っておく本、処分する本を分けている様子を見て、なんだかホッとするものを感じました。
作業を続ける内に、分別するスピードがどんどん速くなっていった気がします。
「残したい・読み返したい本の系統がわかってきた」ともおっしゃっていました。
収納開始
午後3時を回り、作業終了の時刻が迫ってきました。
床は見えたものの、まだ未選別の本、手付かずのエリアがあります。
取っておく本を廊下に置いたままなので、大急ぎで本棚に収納します。あっという間に、本棚が一杯になりました。
この時点で、時間まで作業してもフィニッシュまでは難しい旨を、お母様とお嬢様にお話しました。
作業前と比べると、かなりの変化です。
「この調子で片付けていただければ、自力でも大丈夫だと思います。」とご説明しましたが、ここまできたら最後までやってほしいとのお母様の判断で、翌日も作業させていただくことになりました。
お部屋の片付け2日目
2日目のスタッフは、私一人です。
部屋に入ってビックリ!
昨日、手を付けることができなかった机のまわりが、綺麗に掃除されているではありませんか!
あの後、夜自分でやってみたとのこと。かなり丁寧に掃除されていました。
思わず、ちょっと上から目線で「すごいじゃん」と言ってしまいました。
片付けスイッチが入ったみたいです!
2日目の作業開始!
折角なので、お嬢様には机まわりの片付けを、引き続きやっていただくことにしました。
私は、手付かずだった一角の物を引っ張り出して、確認・廃棄・収納を行います。
机まわりがひと段落した後、昨日の続きの本の選別を行っていただきました。
本棚は、もう一杯です。残す本を、かなり厳選している様子でした。
本棚に入りきらない本が、ダンボール2箱ほど残ってしまいましたが、少したってから見直してもらえば、今の彼女なら大丈夫だと思いました。
最後に、整頓・収納・清掃の仕上げをして、無事に部屋は片付きました。
なんと、本は5分の1以下に減らせました。
それに、お母様の悲願でもあった掃除も現状なら簡単にできます。ご本人も、これなら自分でも掃除できると喜んでいらっしゃいました。
感想
お嬢様の覚醒がなかったら、ここまで順調に片付けることはできなかったと思います。
本の選別を繰り返すことが、良いトレーニングになったのでしょう。
お母様とお嬢様のギリギリ妥協点に着地できれば上出来かなと思っていましたが、よりベターな結果が出せて、本当に良かったと思います。
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