「3DK、4階、階段降ろし、月末退去予定――はいはい、よくあるパターンね」
あのときの自分を、いま全力で説教したい。
……いや、本気で。

ご依頼の背景
ある日のこと、「退去に伴い、部屋を空っぽにしたい」とのご相談をいただきました。
すでに新居へとお引越し済みとのことで、見積もり日もとんとん拍子に決定。
それまでの間に、必要なものを運び出しながら、少しずつ物を減らしていく予定とのことでした。
お見積もり
当日は、お母さまとお嬢さまがお出迎え。
お二人とも明るくて感じがよく、お話もテンポよく進んでいきました。
さっそくお部屋を拝見すると……
キッチンはシンクの高さまでゴミやモノが溜まっていました。

トイレとお風呂は比較的スッキリしていて、問題なく使われていたご様子でした。

お子さまのお部屋には、日々の暮らしの名残が感じられ、物量もそこそこ。

「まぁ、でもこのくらいなら全然大したことないですよ!」
その一言に、ベテランの“慣れ”が顔を出しました。
片付け1日目:太ももプルップルの洗礼
初日の出動は4名。
まずは分別と袋詰めからスタートしました。
1部屋につき1人入るのが精一杯で、「とにかく減らすしかない」と黙々と手を動かします。
モノでいっぱいだったキッチンは、シンクへと辿り着けるようになりました。

お昼を少し過ぎたあたりで、これ以上は身動きが取りづらいと判断。可燃袋をトラックへ運び出しました。

そして、袋を抱えて階段を降り始めた瞬間――後悔が全身を駆け抜けました。
90リットルの袋を2つ持って、数往復しただけで太ももはもう限界寸前。
筋肉とともに、心の中でも「こ、これはヤバいかも…」という悲鳴が上がります。
階段は、数字では計れない。
片付け2日目:バケツリレーに作戦変更!
このままでは効率が悪すぎる。
そこで2日目は5名を投入し、作戦変更!
階段を上り下りするのではなく、流れるようにモノを受け渡す“バケツリレー方式”を採用しました。
1階の駐車場に集積スペースを作り、チームで連携しながらテンポよく搬出。
「おーい、どんどん次いくぞ!」と声を掛け合ううちに、過酷な中にも自然と笑いがこぼれました。
気付けば体はヘトヘト。しかし、現場には確かな一体感がありました。
終わるころには、全体の7~8割ほどが片付け完了。

みんな“もう限界の顔”をしていましたが、どこか達成感と手応えが漂っていました。
片付け3・4日目:疲労と焦り、それでも前に進む
3日目は2名で半日。
袋詰めと搬出を中心に、ベッドの上に仮置きしたダンボールの解体など軽めの作業を進めました。

少し余裕も出てきたので、並行して分別も実施。
部屋の中にようやく“空間”が生まれ、少しだけ光が見えてきたような気がしました。
そして4日目。
この日は3名でラストスパートをかけます。
お客様も仕分けを手伝ってくださり、大物家具と資源以外はほぼほぼ外へ。
「もう少しで終わる」
――その言葉だけを支えに、全員で気力を振り絞りました。
とはいえ、4階階段降ろしのダメージはじわじわと足に蓄積。
筋肉が悲鳴を上げ、体力はすでに限界を超えていました。
悔しいけれど、ここで一旦ギブアップ。
5日目:達成と静けさの中で
最終日は2名で半日。
朝のうちにほとんどの荷物を出しきり、取っておくモノは押入れにまとめておきました。

相方には先に戻ってもらい、残った時間で最後の仕上げを。
洗濯パンは若干汚れが強めでしたが、清掃でここまで仕上がりました。
清掃前の洗濯パンの様子

清掃後の洗濯パンの様子

お風呂はもともときれいだったので、軽めの清掃で十分。

キッチンもすべてのモノがなくなり、驚くほどスッキリ。

現場を見渡すと、空っぽになった3DK。
光が差し込み、清々しい空間が戻ってきました。

静まり返った部屋に、わずかに埃が舞っていました。
「終わったな……」と、しみじみ実感。
太ももはガクガク。
けれど、心はスッキリ。
軽く見積もってしまったことへの反省と、最後までやり切った達成感が混ざった、不思議な感覚でした。
作業データと費用
| 作業データと費用 | |
|---|---|
| 間取り | 3DK(4階階段) |
| 作業日数 | 5日間 |
| 作業人数 | 13.5人工(+サービス清掃1人工) |
| 総排出量 | 可燃・不燃 3,430kg(約7車)/資源 5車、冷蔵庫×2、洗濯機×1、エアコン×1 |
| ご請求金額 | 434,500円(税込) |
反省の中で気づいた仕事のやりがい
見積もりのときに、つい“軽く”見てしまった。
その結果、想像以上に大変な現場になってしまいました。
それでも、お客様から「本当に助かりました」と言っていただけた瞬間、その言葉が、すべてを上書きしてくれました。
今回、痛感したのは――
「慣れが一番の敵」ということ。
経験があるからこそ、油断が生まれる。でも同時に、経験があるからこそ、何とかする術も知っている。
太ももは、相変わらず笑ったまま。
でも、気持ちはスカッと晴れやかだった。
――この仕事、やっぱり好きなんだと改めて思えた5日間でした。





