2階の部屋の出入口に置かれた大型の木製タンス

「どうやって入れたんだっけな…」2階に残されたタンスの謎と、静かな終活

「どうやって入れたんだろう」

2階に置かれたタンスを見た瞬間、まずそう思いました。

階段を通すには大きい。向きを変えるにも、余裕がない。

窓から入れたのか。
階段をぎりぎり通したのか。
それとも、昔は今より搬入しやすかったのか。

ご主人に聞いてみると、しばらく考え込んでから、ぽつりと言いました。

「若い頃に、息子と2人でやったんだけど。どうやって入れたんだっけな……」

入れた本人も、もう覚えていない。

そのタンスだけが、長い時間を覚えているようでした。

電話一本、下見に伺うことにした

「市の分別表に載っとったで、電話してみたんだけどね。粗大が6点ほどある。2階にもあるから、それも下ろしてもらえるかね?」

2階からの運び出しは、実際に見てみないとわからないことが多いため、下見に伺うことにしました。

落ち着いた佇まいの一軒家。

まずは1階を確認し、粗大4点、問題なし。

問題は、2階でした。

幅のあるタンス。狭い廊下。メジャーを当てると、間口はギリギリ。階段の幅も、同じくらい。

実はこれ、よくある話なんです。

入れた時は手すりがなかったり、扉が付いてなかったり——昔はすんなり通ったものが、今は通らない。

2階には、そういう「謎」が眠っていることがあります。

結局、そのタンスがどうやって2階へ上がったのか、はっきりした答えはもう誰にも分かりません。

ただ、ひとつだけ確かなのは、昔は家族で何とかできたことも、今では簡単ではなくなっているということです。

それにしても、目の前のタンスは、なかなか立派な風貌でした。

もしかしたら先祖代々の大切な家宝かもしれない……と、少し身構えてしまいます。

「……万が一の時は、お部屋で解体させていただいてもよろしいでしょうか」

恐る恐る確認すると、

「ん?いいよ」

こちらの心配とは対照的に、ご主人の返事はとても穏やかでした。

見積もりをしながら、聞いた話

見積もりを作っていると、ご主人がぽつりと話しはじめました。

「妻はもう前に亡くなってね…いまは一人。だから終活をはじめようかと思って」

少し、間がありました。

広いお家なのに、2階は使っていない。案内していただいた部屋は、たしかにひっそりとしていました。

使われていない空間には、独特の静けさがあります。

説明を終えると、「お願いする。いつやれる?」と即決してくださいました。

やはり、解体することに

作業当日。まず1階の4点をスムーズに片付け、いよいよ2階へ。

収納部屋からタンスを引き出そうとすると、回転させるスペースがない。養生マットの上に載せて、滑らせながら洋室へ移動。

ところが、次の出入口で止まりました。

ドアノブに当たって、通せない。

やはり解体しかない。作業前にも伝えていましたが、念のため、もう一度確認します。

「壁を傷つける恐れがありますので、解体させていただいてよろしいでしょうか」

もしかしたら、奥さまとの思い出が詰まっているかもしれない——

「いいよ」

……かしこまりました。

ご主人にとっては、もう役目を終えた家具だったのかもしれません。

「えらい簡単に壊れるんだね」

解体開始。

このタイプのタンスは、背板を外すと一気に強度が落ちます。

トントンと叩いたらあっさり外れました。続いて支えの木を外し、横方向に少しずつ力を逃がしながら分解していきます。

大型タンスの引き出し部分をハンマーで解体している作業の様子

はい、きれいに解体できました。

その様子を見ていたご主人が言いました。

「トントンって、えらい簡単に壊れるんだねぇ」

(えぇ、片付けトントンだけに!)

その言葉は、心の中でそっとしまっておいた。

無言のまま、もう1点の縦長タンスへ。

高さだけ気をつけながら、無事に運び出すことができました。

「今日はこれで十分だよ」

木くずを掃いていると、ご主人から声がかかりました。

「もう一つお願いできない?1階に下ろしたいものがあるんだけど」

1人掛けのソファー。2人で抱えて、無事に降ろしました。

「今日はこれで十分だよ。ありがとう」

掃き掃除を終えて、作業完了です。

大型タンスの搬出後、すっきり片付いた2階の部屋

作業データ

作業時間:2名×3.5時間
処分量:粗大6点+ソファー移動
ご請求金額:41,250円

※ソファー移動は時間内に完了。追加費用なし。

昔は入ったものが、今は出せない

若い頃に息子さんと2人で運び入れたタンス。

その時は、「出すとき」のことなど、考えてもいなかったはずです。

でも年月が経つと、家の中も、暮らし方も、体力も変わる。

今のうちに、片付けておきたかった——

広い家に一人で暮らすご主人の、静かな決断でした。

ご主人のこれからの暮らしが、少しでも身軽なものになりますように――

・・・

「そういえば、うちにも2階から出せない家具がある」
「終活として、少しずつ家の中を整理しておきたい」

そう思った方は、「片付け・整理収納ページ」をご覧ください。
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※掲載している作業イメージ画像は、実際の現場写真ではなく、内容をもとに作成した生成画像です。

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