「ここにはこのまま住みたいんです。でも、一度ちゃんと部屋をきれいにしたくて」
そう話してくださったのは、ワンルームにお住まいのお客様でした。
引っ越しではなく、今の部屋で暮らし続けるための「リセット」が今回のご依頼でした。
お見積もり
お部屋に入ってまず目についたのは、床や家具に積もったホコリでした。
モノやゴミの量そのものは極端に多いわけではありません。ただ、しばらく掃除ができていなかったようで、部屋全体に汚れが蓄積しています。
特に大変そうと感じたのは水回り。トイレとお風呂は使える状態でしたが、浴室の壁は全面にカビが広がり、キッチンにも、サビなのか焦げなのか一目ではわからない汚れがこびりついていました。
見たところ、今回は片付けよりも清掃に時間がかかりそうな印象でした。
「完璧な状態には戻らないかもしれません」
もうひとつ気になったのが、壁紙の状態です。
タバコのヤニが染みつき、経年劣化もかなり進んでいました。
汚れには、清掃で落とせるものと、どうしても落としきれないものがあります。
そこで見積もりの段階で、
「できる限りキレイにはしますが、完璧な状態には戻せないかもしれません」
と正直にお伝えしました。
その点もご了承いただいたうえで、作業内容と料金のご説明。
なるべく費用を抑えたいとのご希望もあったため、今回はスタッフ3名で作業することにしました。
お見積もりは、片付けと清掃を合わせて18万円(税込)。
数日後、LINEにご成約の連絡が届きました。
さて、どこまでキレイにできるでしょうか。
まずは「残す」「捨てる」の確認から
作業当日――
到着から終了までは、休憩1時間を含めて約7時間の予定です。
まずは、お客様と一緒に残すものと処分するものを確認していきます。
音響機材とテーブルは、
「まだ確認ができていない」
とのことで、そのまま残すことに。
間違って処分しないよう、養生テープで目印を付けておきます。
衣類については、ハンガーに掛かっているものだけを残し、それ以外は処分。
キッチンから大量に出てきたタッパーや、使用感のある調理器具なども処分することになりました。
まだ使えるもの、まだ着られるものもありました。
こちらから見れば「まだ使えそう」と思うものでも、残すかどうかを決めるのはお客様です。
今回は「一度リセットしたい」とのことだったので、そのご希望に沿って処分していきました。
大まかな方針が決まったところで、お客様は用事のため外出されました。
ここからスタッフ3名で、一気に作業を進めます。
片付け2名、浴室1名。三手に分かれてスタート
午前中は、2名が分別・袋詰め、1名が浴室清掃を担当しました。
まずは6畳ほどのリビングから。
床と天井に突っ張るタイプのハンガーラックは残し、必要な衣類をそこへ集約していきます。
音響機材とテーブルもそのまま。
それ以外は、お客様と確認した内容に沿って処分していきました。
袋詰めを進めていくと、可燃ゴミだけで約20袋。
寝床として使われていたソファベッドも、スポンジがほとんど剥がれていたため処分となりました。
キッチンから廊下にかけても、通路にあるゴミを回収。
収納の中も確認し、状態のよい調理器具を除いて処分していきます。
こうして少しずつ床が見えてくると、部屋の印象も変わってきます。
片付け自体は順調に進んでいきました。
一方で、かなり時間がかかったのが水回りです。
一番の難所は、カビに覆われた浴室
浴室は、壁一面にカビが広がっていたため、ここは朝からスタッフ1名がつきっきりで対応しました。
掃除の基本は「上から下」ですが、今回はまず床を軽く流して足場を作ってから、壁面、浴槽、換気扇、天井、扉、床、排水口の順で進めました。
「それなら天井からやったほうがいいんじゃない?」
と思われるかもしれません。
もちろん、掃除の基本でいえば上から下です。
ただ今回は、汚れ落ちを優先してお湯を使っています。
さらに、浴室の扉も閉めたまま。開けっぱなしにすると、すぐ横のキッチンで作業しているスタッフが動きづらくなってしまいます。
おまけに、換気扇も壊れているのか動いていません。
当然、浴室内はかなり蒸し暑く、結露もすごいことになっていました。

この状態で最初に天井をやると、作業中ずっと水滴がポタポタ落ちてきて、しこたまびしょ濡れになります(笑)
なので、天井はあえて後半に回しました。
夏場です。
なかなか過酷です。
※お湯をかけたあとに水をかける方法もありますが、今回は時間との勝負でもあったので、効率を優先しました。
カビ取り剤を目地に浸透させながら、壁や浴槽を少しずつ清掃していきます。
特に時間がかかったのが、浴室ドアの外側や下部に黒く固着していた汚れでした。
プラスチック製の道具では、ほとんど歯が立ちません。
そこで、サッシを傷つけないよう慎重にスクレーパーを使い、少しずつ削り落としていきました。
結局、浴室だけで午前中いっぱい。
ここでようやく一区切りです。
「これ、捨てて大丈夫?」は勝手に判断しません
午前中の分別と袋詰めが終わったところで、1時間ほど休憩を取ります。
実はこの間にも、お客様にお願いしていたことがありました。
写真や貴重品、音楽関係のCDや機材など、「こちらでは処分の判断をしないほうがいいもの」を取り分けておいたのです。
休憩中に、お客様ご自身で確認していただきました。
片付けの現場では、
「たぶん要らないだろう」
で捨てるわけにはいきません。
一見すると不要品に見えても、ご本人にとっては大切なものかもしれないからです。
休憩から戻ると確認が終わっていたので、不要と判断されたものを追加で袋詰め。
ここで、片付けを担当していたスタッフのうち1名が、処分場への搬送に向かいます。
残った2名で、午後の清掃に取りかかりました。
サビだと思っていたキッチン。正体は……
見積もりのとき、ひとつ気になっていたものがありました。
キッチンにびっしりと付着していた茶色い汚れです。
サビなのか。
焦げなのか。
見ただけでは、よくわかりませんでした。
実際に洗剤を付けて擦ってみると——。
焦げでした。

しかも、中性洗剤とスポンジでやさしく擦ると、表面の汚れは思っていたよりも素直に落ちていきます。
こういうのは、ちょっとうれしい瞬間です。
収納扉を水拭き、乾拭きし、最後にシンクを磨き上げます。
キッチンだけで約2時間。
冷蔵庫は処分となりましたが、電子レンジ、オーブントースター、調理用の電気ヒーターは残すことになりました。
浴室の次はトイレへ
午前中ずっと浴室と格闘していたスタッフは、そのままトイレへ移動します。
こちらは浴室ほど汚れが強くありませんでした。
まず天井のホコリを落とし、壁紙を含めて上から順に水拭き、乾拭き。
その後、便器、床、扉と清掃していきます。
作業時間は約1時間。
便器に固着した尿石については、一部どうしても取り切れない部分が残りました。
床が見えると、部屋の印象は大きく変わります
続いて、リビングです。
天井や壁のホコリ落とし→ほうきがけ→床に張り付いた紙や汚れの除去→水拭き→乾拭きの順で仕上げていきます。
作業を進める中で、これ以上こすると床のコーティングまで剥がれてしまう恐れがある箇所もありました。
そうした部分は無理に汚れを落とそうとはせず、素材を傷めないところで作業を止めました。作業後には、その状態についてお客様にもご説明しました。
そして玄関のタタキ、下駄箱、廊下と順番に仕上げていきます。
ゴミや不要品がなくなり、床の汚れが落ちてくると、最初に入ったときとは部屋の印象がかなり変わりました。
もちろん、壁紙の劣化や、どうしても落としきれなかった汚れは残っています。
それでも、不要なものがなくなり、水回りや床もかなりスッキリしました。

最初に伺った「この部屋でこのまま暮らしたい」というご希望に対して、ひとまず生活を仕切り直せる状態にはできたと思います。
夏場の閉め切った浴室で作業していたスタッフは、最後には汗だく。
なかなか大変な一日でした。
結局、どれくらいの量を処分したのか
今回回収したものを計量すると、
可燃・不燃ゴミ 180kg
段ボール 30kg
衣類 80kg
金属類 50kg
合計、約340kgでした。
最初に部屋を見たときは、「ものすごくモノが多い」という印象ではありませんでした。
それでも、全部合わせると340kg。
長い時間をかけて少しずつ増えていったモノは、見た目以上の量になっていました。
作業を終えたお客様から
作業後、お客様から、
「いろいろと要望も聞いていただき、気さくに対応してもらえたので、良かったですね。また何かあれば依頼したいと思います。」
と言っていただきました。
今回は、壁紙の劣化や落としきれない汚れもあり、正直、「見違えるほどキレイになった」とまでは言えない仕上がりでした。
それでも、最初に比べれば部屋の中はかなりスッキリしましたし、水回りもできるところまで手を入れることができました。
お客様が最初に話していた「一度リセットしたい」という意味では、かなり近いところまで持っていけたんじゃないかなと思います。
最後に「また何かあれば」と言っていただけたのは、やっぱりうれしいですね。
「ゴミ屋敷ではないけれど、どうにもならない」でも大丈夫です
今回のお部屋は、足の踏み場もないほどゴミが積み上がっていたわけではありません。
それでも、
「自分では、もうどこから手をつければいいかわからない」
という状態になることはあります。
特に水回りの汚れは、時間が経つほど落とすのが大変になります。
そんなときは、すべてを捨てて引っ越さなくても、今回のように「必要なものを残して、片付けと清掃で一度リセットする」という方法があります。
「この状態でも頼んでいいのかな」
と迷われる必要はありません。
まずはお部屋の写真を1枚送ってみてください。
写真だけでは状態がわかりにくい場合は、無料で現地確認にもお伺いしています。
今のお部屋がどんな状態で、どうすれば片付くのか。
私たちも一緒に考えていきます。
※掲載している画像は、実際の現場写真ではなく、記事内容をもとに作成したイメージ画像です。





