ご高齢だったり、障がいをお持ちだったりすると、ゴミ屋敷のようになってしまったお部屋をご自身だけで片付けるのは、本当に大変です。
かといって、業者に頼むのも騙されそうで怖いし、いったいどこに頼んだらいいのか…途方にくれてしまいそうです。
そんな時、相談に乗ってくれる人がいたらいいですよね。
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今回は、社会福祉協議会の方が、ご依頼主様と片付けトントンとの間を取り持ってくださったことで、スッキリ片付けることができた事例をご紹介します。
高齢の方、障がいをお持ちの方の参考になれば幸いです。
「他社の見積もりが高かったし、部分的にでもやれれば…」
申し遅れました。私、営業の高橋と申します。
3月中旬のことです。社協さんから、一本のお電話がありました。
「病気が進み、一人では片付けられなくなってしまった方がいる。一度、ゴミ屋敷状態になってしまった部屋をリセットしてほしい。他社の見積もりが高かったし、部分的にでもやれればと思っている…」
他社は、いくらぐらいで見積もりを出したんだろう? なるべく全部片付けられたらいいなと思いつつ、見積もりの日時をお約束しました。
ご依頼主様は、足が不自由な上に弱視のため、社協の方も立ち会ってくださる予定です。
社協さんの立ち会いのおかげで、お見積もりがスムーズに
お住まいは、会社から近かったこともあり、少し早く着きました。大きなマンションの一室です。
もう社協さんも到着していらっしゃるかもしれないと思いつつ、インターホンを押してみましたが、お返事がありません。
まだお見えになっていない? あれ、ご依頼主様もいらっしゃらない?
一旦エレベーターを降りてエントランスでお待ちしていると、ほどなく社協さんらしき方が、こちらに向かって歩いていらっしゃいます。ネックストラップと所作にキレがある感じから、初めてでも、なんとなく雰囲気でわかりました。
「遅くなりました〜」
いいえ、全然遅くありません。時間ぴったりです。ポジティブで頼りがいのある感じに、なんだかうまくいきそうな予感がしました。
一緒にエレベーターに乗り込み、先ほど「インターホンを鳴らしても、お返事がありませんでした」などとお話ししているうちに、玄関前に到着。
ピンポーン、コンコン、「〇〇さ〜ん、△△で〜す」
△△と名字だけで伝わるようです。信頼関係が築けていて、とても距離が近い感じがしました。
ご依頼主様は、足が不自由で歩きにくいのもあり、「ピンポン」だけの場合は、防犯も兼ねて出ないようにしているとのことでした。
そうとは気づかずに、さきほどはすみません。
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このお部屋には、もともとは、ご依頼主様のお父様がお住まいでしたが、お父様が入院されたのを機に、半年ほど前に引っ越していらっしゃったそうです。
お身体が不自由なため、いろいろなモノが床に溜まったり、掃除が行き届かずに汚れてしまったりしています。
お部屋の隅には、結構な量の埃が溜まっていましたから、ずっと使っていない物も多いのかな、ということも推測できました。
介護ベッドを入れたり、定期的にヘルパーさんにも入ってもらうご予定らしく、社協さんは「〇〇さん、ゆくゆくのことを考えてこうしてもらった方がいいんじゃない? ああしてもらった方がいいんじゃない?」などと親身にアドバイスなさっていました。
福祉のプロ目線でのご意見はとても参考になりますし、それに、なんといっても信頼できる方が立ち会ってくださって、ご依頼主様も心強かったのではないかと思います。
おかげさまでスムーズにご要望をお聞きすることができ、今回は、不用品の処分と水回りを中心としたお掃除、という感じでお見積りを作らせていただくことになりました。
その場で金額をお出しすることもできましたが、焦らずにじっくり検討する時間が欲しかったので、後日、あらためてご連絡ということで、ご了承いただきました。
帰りのエレベーター中、社協さんからおおまかな費用を尋ねられたので、「ざっくりですが、掃除まで入れて30万ぐらいになると思います」とお答えしました。
「実は、前に見積もりしてもらった業者さんには、80万くらいかかると言われたので、さすがにそれは無理だし、どうしたものかと困っていたんです」
金額をお聞きになり、少し安心されたご様子でした。
それにしても80万とは!ちょっと高すぎるだろと思いましたが、正直、これならウチで成約していただけるかもと、ちょっぴり期待してしまいました。
また、今回の片付け費用は、入院中のお父様がお支払いをされるとのこと。「なるべく頑張って金額を出してみます」と気持ちをお伝えしてから、社協さんとお別れしました。
帰社後、あれこれ考えながらパソコンとにらめっこです。
移動時間もそれほどかからないため、ギリッギリまで人員を減らし、最終的に226,600円でご提案したところ、「お願いしたい」とのご返事をいただきました。
ご成約ありがとうございます。当日は私も作業に参加するので、頑張っていい仕事をしたいと思います!
片付け・清掃作業
出動スタッフは3名で、社協さんも途中から駆けつけてくださる予定です。
目が不自由でいらっしゃるため、電気料金の請求書を見逃してしまい、片付け当日は電気が使えなくなっていましたが、水道は使えますから、問題なく作業はできそうです。
作業中、ご依頼主様には、廊下の椅子にかけていていただき、取っておくかどうか迷った物は、その都度、確認しながら分別しました。
分別・袋詰めが済み次第、不用品をどんどん運び出していきます。
玄関付近からは、ご商売をなさっていたお父様の物と思われる古い伝票や、釣銭の束などが大量に出てきました。紙類はリサイクル、お金は邪魔にならないところにまとめておき、後ほどお渡ししました。
テレビの近くにあるとおっしゃっていた卒業証書も無事に見つかり、良かったです。
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11時前には、あらかた分別・袋詰めの目途が立ち、小休止をはさんで、1名は不用品の運び出しとトラックへの積込み、残りの2名は清掃作業に入ります。
私は、お風呂とトイレが一体になっているユニットバスから攻めていくことになりましたが、電気が止まっているので真っ暗です。
まずは、カビ取りスプレーを壁面に塗布し、浸透するまでの間にトイレ掃除をしようと思ったら・・・
トイレのレバーを引いても、水が出ません。
タンク内を確認すると、レバーとゴムフロートを繋いでいるチェーンが切れていました。何とか修理したいですが、それは後で考えるとして、とりあえずは、バケツで水を流しながら掃除をしました。
最初にカビ取り剤を塗布しておいた壁面は、だいぶキレイにすることができましたが、ユニットバスの床面の汚れは思った以上に手強く、こちらも洗剤を噴霧し、浸透するまでしばらく放置してからの時間差攻撃に切り替えます。
そうこうしているうちに、あっという間に1時間半が経過。他のスタッフに小休止を促されたので、ちょびっとだけ外の空気に当たります・・・
う~ん、涼しい!!
手を洗うためにキッチンに行くと、シンクはまだ手付かずの状態でした。試しに少しこすってみると、トイレの床と違い、汚れがスルスルと落ちるではあ〜りませんか!
ついつい、キッチンの掃除に夢中になってしまっていると、他のスタッフからツッコミが・・・
「高橋君、お風呂とトイレの掃除、間に合うの?」
ちょちょ、ちょっと厳しすぎじゃないですか!?
でも、本当にやらなければいけないことを先延ばしにするのって、試験勉強している最中に部屋の片付けをしちゃう感覚に似ています(ブログ編集担当者 注:ぜんぜん似てません)。
「大丈夫っす! たぶん」
自分自身にハッパをかけ、猛烈な速さでキッチンを終わらせました。
再び、ユニットバスにこもって、最後の仕上げに入ります。
床には、どうしても落としきれない汚れが残ってしまいましたが、なんとか時間内に終わることができました。
また、ご依頼主様が「電気を使えるようにしたい」とおっしゃったので、スタッフの竹内が電力会社に電話して、30分ほどかけて未払い金額の確認やコンビニでの振り込み方法などを教えてもらいました。
そうこうしている内に、社協さんが到着!
社協さんは、早速ご依頼主様と一緒に電気料金の振り込みを済ませ、もう一度電力会社に電話して、再開の手続きをしていらっしゃいました。すぐに電気も使えるようになりそうで、良かったです。
リビングは、スッキリ広々として、余裕で介護ベッドを入れられるようになりました。
(トイレのチェーン、掃除の時に経年劣化で折れてしまった換気扇カバーのバネは、後日お伺いして修理しておきました)
作業を終えて
今回は、社協さんが見積りや作業に立ち会ってくださり、ご依頼主様をしっかりとサポートしてくださったおかげで、とてもスムーズに片付けることができました。
ユニットバスの床の汚れは、一部落としきれませんでしたが、全体的な仕上がり具合はまずまずで、ご依頼主様にも、社協さんにもご満足いただけて良かったです。
・スタッフ人数:3名×1日
・排出量:可燃220kg、テレビ4台
・ご請求金額:226,600円
この度は、片付けトントンにご用命いただき、本当にありがとうございました。
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怪しい業者に高額な片付け料金をふっかけられたり、大切な物を捨てられたりしたら大変です。
ご高齢の方や、お身体に何らかの障害をお持ちの方は、一度、各市町村の社会福祉協議会に相談してみてはいかがでしょうか。
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社協さんからの紹介で片付けのお手伝いをした、こちらの事例もどうぞ。
次のブログは、ケアマネさんと協力して片付けが成功した事例をご紹介しています。