知り合いの解体業者さんから「解体予定のお宅に、まだたくさんモノがあるので片付けの見積もりをしてほしい」という連絡が入りました。
今回は、7年間空き家状態だった実家の片付けの様子をご紹介します。
お見積り
ご依頼主様は、ゼネコン一筋で勤め上げた90歳の男性で、見積りには立ち会われないため、代行で解体業者さんがカギを開けてくれました。
お宅は築47年で、2階建ての5DK。ご両親がお亡くなりになった後は、お姉様が一人でお住まいでしたが、7年ほど前に施設に入られてからは、ずっと空き家状態になっていたそうです。
施設に入られたとしても、なるべく家はそのままにしておいてあげようと思っていらっしゃった7年間だったでしょうし、今回の解体のご決断にも、いろいろな思いが交錯したはずです。
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まずは、1階のお部屋を拝見すると、タンス4棹、仏壇、本棚がありました。
タンスは、1階2階合わせて全部で9棹ありました。大物家具が多めなのは、やはり、実家ならではの感じがします。
キッチンの収納には、食器類がいっぱい詰まっており、床にも少しモノが置いてありました。
お正月やお盆に集まるご家族やお友達のために、きっと、たくさんの食器が必要だったのだと思います。
階段を上がってすぐのところには、ダンボールが積んであり、通路が少し狭くなっていました。
崩れてきたら危ないかもと思いましたが、ほとんどが空箱でした。
押し入れには、布団がたくさん入っていました。子どもさんやお孫さんが遊びに来た時のために取っておいたのでしょうか。
手前の部屋には、ほとんどモノがありませんが、奥の部屋にはタンス3棹と収納ケース、ダンボールが10箱ほど置いてあります。
2階は長いこと使われていなかったようで、ちょっとした物置代わりにしていたのかもしれません。
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現地での確認が終わり、見積金額を提出するためにご依頼主様のお宅に伺ったところ、ご夫婦そろってお出迎えくださいました。
「着物なども基本的に全部処分して大丈夫。母がいた頃の荷物もあり、妻と大事そうなモノは探し出したけど、もし、めぼしいモノが見つかったら取っておいてほしい。」とのことでした。90歳でいらっしゃるのに、大切なものの探し出しまでなさったなんて、本当にお元気です。
作業内容は不用品の分別と処分。解体のため掃除はなしということで、ご成約いただきました。
ご依頼主様の立ち合いはなく、カギをお預かりして作業する予定です。
2階の片付け【印象的なシーン】
ある程度はご依頼主様がチェック済みですが、大切なものを見逃さないように周知徹底し、1階と2階の二手に分かれて作業を始めました。
まずは、階段上がってすぐのダンボールを片付けて、動線を確保します(写真中央奥)。
ほとんど空っぽのダンボールだったので、あっという間に片付きました。どこを先に片付けたら良いのか、ちょっと考えながら仕事をするだけで、安全性も効率も格段にアップします。
次は、廊下の押し入れです。毛布や布団をどんどん袋に詰めて運び出します。
他にも、食器や湯飲み茶碗、調理道具、鳥カゴといろんなモノが出てきましたが、1時間ほどで片付きました。
続いて和室に移動し、上を見上げると、レトロなブリキの衣装ケースがありました。
このように上に積んでおくと、角がとがっている分、ちょっと怖い感じがします。保管するなら、下に置いた方が安全ですね。
このブリキの衣装ケースは、古いお宅で見ることが多く、鉄としてリサイクルできます。
おっと!床の間の天袋から、古い雑誌が出てきました。
なんと、なんと、51年前のマーガレットです。
可愛い表紙!30冊近くありましたが、いらないとのことだったので、全部いただいてきました。
岡本太郎のグラスも発見。
実家の片付けは大変ですが、懐かしいモノや珍しいモノが見つかると、テンションが上がります。
ほぼ分別が終わったので、照明器具の取り外しと荷物の運び出しを行いました。
サッと掃き掃除をして完了です。
ここまでで約4時間。アフター画像をご覧ください。
【2階の360°アフター写真】(Internet Explorer 、一部のスマホで見ることができない場合があります)
玄関、1階の部屋の片付け【印象的なシーン】
玄関と室内に分かれて作業開始です。
封筒に入った書類がたくさんあったので、チェックに時間はかかりましたが、ここは手抜き厳禁です。
現金、印鑑、商品券、権利書などが見つかりました。
宝石の鑑定書もあったので、実物が出てくるかも・・・とドキドキしましたが、残念ながら見つかりませんでした。
アルバムが何冊も出てきました。他の写真と一緒にまとめておきます。
昔懐かしい火鉢が出てきました。
キッチンの片付け【印象的なシーン】
さて、キッチンを片付け始めます。
たくさんの陶器が出てくるのは、実家あるあるです。
1つずつ紙で包まれた丼も丁寧に分別します。
キッチンの棚の中に・・・まさかと思うような場所から結婚式の写真が出てきました。
よけておいて、ご依頼主様にお渡しします。
自家製の梅酒が出てきました。これも実家の片付けでは、よく見ます。
キッチン完了時の様子です。
片付けを終えて
片付けが終わった翌日のことです。請求書と一緒に、作業中に見つかったアルバムや小銭などを持って、ご依頼主様のお宅にお邪魔しました。
すると、ご依頼主様も、ちょうどご実家から戻ってみえられたところでした。ナイスタイミングです。
「きれいにしてくれてありがとう、写真もすまんかったね」
ねぎらいのお言葉をいただき、ほっとしたのも束の間。隣にいらっしゃった奥様が、おっしゃいました。
「そんな写真とか捨ててくれても良かったのに」
ドキッ!
もちろん処分することもできますが、ご夫婦で相談した結果、お受け取りくださいました。
そのあと、ご依頼主様が要職として携わった誰もが知っている施設の建設の話もお聞きするなど、少し長居をしてしまいましたが、楽しいひと時でした。
帰り際には、奥様が玄関まで見送ってくださいました。
「私も残る人のことを考えて自分の家の中を片付けている。タンスも服なんかも娘たちは一つもいらないと言っているから、積極的に減らしている。持ってきてくれた写真も一通り見たら処分するように説得するかな。誰かわからない人の写真を残されても、後の人が困るだけだからね。」
「これから義理の姉の介護保険手続きに行かないかん。あの人はなんにもできないから」と微笑んでいらっしゃいました。
おそらく半世紀を超えて連れ添ったご夫婦です。きっと、私には想像もできない深い絆があるんだろうなと思いました。
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シニア情報紙『ローズ』に、実家の片付けというテーマで書いた記事です。
よろしかったら次のブログもどうぞ。
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